リクルートのDNA

リクルートのDNA

リクルートのDNA―起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)

口下手がリクルートを生んだ

リクルート創業者江副浩正さんは自分のメッセージを打ち出すことができなかった。だから思いや経営に対するスタンスについては「社是」「社訓」「心得」などとして文章にし、社員教育の教材とした。結果的にはリクルート共同体意識を醸成し、独特の企業風土や企業文化が形成された。

社員の名前と特徴を覚える

社員の名前を徹底的に覚えることは大事だ。社内の誰がどのような仕事を担当しているかOBのことまでもよく知っている。そうすると新規事業を立ち上げるときにはメンバーの人選が自然と頭に浮かんでくるようになる。

収益を上げるさいにリクルートが重きを置いた二つ

企業が収益を上げるには、1.質の高いサービスを提供する、2.モノ・サービスをスピーディに提供する、3.コストを下げて顧客への価格を下げるの三つの方法がある。リクルートでは1と2に重きを置いた。

経営理念とモットー

1.誰もしていないことをする主義

2.分からないことはお客様に聞く主義

3.ナンバーワン主義

4.社員皆経営者主義ー起業家の集団

5.社員皆株主

6.健全な赤字事業を持つ

新規事業の立ち上げはボトムアップ、赤字事業からの撤退はトップの決断によって行うべき

7.少数精鋭主義

少数が精鋭を育てる

8.自己管理を大切に

9.自分のために学び働くー遊・学・働の合一を理想とする

遊び心から出発する。仕事が楽しい、仕事を通じて学ぶことを喜びとして、その道のプロになる。そのような組織風土にしていくことを目指す。

10.マナーとモラルを大切にする

時間、納期などの約束事は必ず守る、嘘は言わない、ごまかさない、お世話になればお礼を言う、詫びるべきことは素直に詫びる、伝えるべきことはしっかり伝える、会議中の私語はしない。マナーとモラルの善し悪しは周囲の人から信頼されるか否かにかかわって大きく、マナーが悪ければよい顧客、よい取引先はやがて離れていく。

マネージャーに贈る十章

1.希望・勇気・愛情

2.ネットワークで仕事をすること

3.高い給与水準

4.人は仕事を通じて学ぶ

人が業績を上げようとする家庭で学ぶ喜びが、その人の成長と密接に関わっている。人を読書や思索に駆り立てる源泉が、仕事そのもののなかにある。

5.プレイングマネジャー

6.まず周囲に自らを語ること

7.数字に強いこと

8.努力の継続

9.脅威と思われる事態の中に隠された発展の機会がある

事業あるいは個人が危機的な状況に置かれたときに、イノベーションは行われやすい

10.リクルートは社会のためにある

PC制度がリクルートの根幹を作った

会社の中に小さな会社をたくさんつくり、そこに大幅な権限を委譲すると同時に高い成果を求め、赤字の会社はリストラをしていく。リクルートでは会社の中の小さな会社をプロフィットセンター(PC)と呼ぶ。PC長はPCの社長、PCのメンバーはPC取締役である。ほとんどのPC長は30歳未満で平均して10人程度の社員を率いるがメンバーがいないPC長もいる。PC長は他のPC長と協調的競争をしつつ独自の経営を行う。拡大も廃業もPC長の力量にかかっている。高い業績を上げれば若くてもPCPC長に昇進できる。PC長として高い成績を上げれば事業部長となる。さらにそこで高い業績をあげれば事業部門の長となる。これがリクルート経営者を育てる仕組みになった。会社の中に会社があり、競い合う。会社の中で高業績をあげた人が、リクルートの組織の階段を昇っていく。だから、気が合う人の集まりはできるが派閥はできない。

褒めるべきときに褒め、叱るべきときに叱る

新入社員が初受注をしたとか、大口受注をしたとか、あるいは新しい手法を考えたとかいったときには大げさに褒める。逆に叱るときには、個室に呼び出して誰にも分からないようにして叱っていた。本人の人格を傷つけるし、自由闊達な組織風土にはマイナスになる。叱るケースは数字をごまかしたとき、うそをついたとき、業績があがらないとき。質問紙、理由が分からないとこたえた社員には「書くことは思考を助けることにつながるので、自分の業績が上がらない理由を書いて、明日持ってきてほしい」と言って面談を終える。翌日「理由は自分でもわかりませんが、がんばります」という社員は本人の達成動機が低い。能力が高くても達成動機が低い社員は採用しない。